「お客さまの中に両替できる方は?」 川崎市バス、運転手に1000円札持たせず乗客に依頼

2024年7月19日 13時36分
 「お客さまの中に高額紙幣を両替できる方はいらっしゃいますか」。川崎市バスの運転手による運賃着服疑惑を受け、市交通局が運転手に両替用の1000円札を持たせることをやめたため、運転手が乗客にこんな呼びかけをする場面があることが、18日の市議会環境委員会で報告された。

◆運転手の釣り銭着服きっかけ

 同局は今月12日、鷲ケ峰営業所(宮前区)所属の市バス男性運転手(48)が2022年9~10月、乗客の運賃支払時に半額に設定するボタンを操作し、出てきた釣り銭を着服する行為を繰り返していたとして、同日付で懲戒免職にしたと発表した。

川崎市バス

 市バス車内の料金箱では紙幣は1000円札しか受け付けられない。このため、以前は同局が運転手に1000円札10枚を貸与し、1000円札以外の紙幣しか持ち合わせない客がいた場合、運転手が両替していた。私的流用を疑われた運転手が同局の聞き取りに対し、「乗務員用釣り銭の不足分に充てていた」と説明したことから、同局は着服の弁解理由とさせないよう昨年8月末で運転手に両替用のお金を持たせることを取りやめた。

◆誰も名乗り出なかった場合は…

 同局によると現在、両替が必要な場合、運転手が車内アナウンスなどで他の乗客に頼んでいる。誰も名乗り出なかった場合には「次の市バス利用時に2回分の運賃支払いを」と声かけしているという。同局管理課の担当者は「小銭がないことによる乗車拒否はしていない」としている。市バス車内でのICカードのチャージに使えるのも1000円札のみで、同局は乗車前の小銭の用意やICカードの事前チャージを呼びかけている。
 環境委員会では、乗客の利便性の観点から、複数の議員が運転手に現金を持たせないことを見直すよう求めた。管理課の担当者は「乗客に迷惑を掛けている現状は認識している。他のバス事業者の工夫を聞き、対応を考えたい」と答弁した。(北條香子)

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