リサイクルに夢中
パタゴニアはスノー業界にリサイクル素材への移行という挑戦を投げかける以前に、私たち自身の考え方を変えなければなりませんでした。
衣料品が及ぼす影響を減らす方法はたくさんありますが、それをリサイクル素材で作ることほど重要なことはありません。そうすることで素材が埋立地行きとなることを防ぎ、悪天候に対応するナイロンやポリエステル(パタゴニア製品を含め、皆様が着たことのあるあらゆるスキー/スノーボード用ジャケットに使用されている素材)などの原料となる石油の需要を削減するからです。皮肉にも、私たちがバージン素材以外の代替品について検討するときはいつでも、基本的にイチからやり直さねばなりませんでした。
問題は科学的なことではなく、「リサイクルされた代替素材には健全な需要が存在する」と、パタゴニアのパートナーたちを説得しなければならないところにありました。しかもその機能性には一切の妥協は許しません。「スノー業界はリサイクル素材に対して懐疑的な固定観念にとらわれていたので、私たちは長いあいだやってみようとも思いませんでした」と言うのは、パタゴニアのシニア素材開発者であるパーシャ・ウィットマイア。おおらかでありながら断固としたウィットマイアは、他人の考えを変えようとするときには重宝する性質の持ち主です。いざそれを試してみたとき、彼は消費財廃棄物から作られた素材を扱うのはさほど難しいことではないと気づきました。彼が開発に貢献した新しいパウスレイヤー・ジャケットは100%リサイクルされた表面素材のゴアテックス・プロ・ファブリクス(この種では初)を使用し、昨年市場に登場して以来、バックカントリースキーヤー/スノーボーダーのお気に入りとなっています。しかし、それはほんの1 製品の、非常に特殊なジャケットに限られたことでした。
「本当にパンチを食らったように感じたのは、世界でも最大級のテキスタイル生産地を訪れたときでした」と、ウィットマイアは語ります。「たった1か所の工場で、何千もの紡績機が、新しい石油ベースの素材を、毎分何メートルという速度で織り上げていました。かなり気分の悪くなる光景です」ウィットマイアはそこで、もっとできることがあると気づきました。だから私たちは今シーズン、パウスレイヤーのリサイクル素材の基準をスノー製品のコレクション全体に広げることにしたのです。
この過程で失敗があったことに、疑いの余地はありません。スキーエッジやクランポンとの接触で起こりやすい損傷を想定し、生地に小さな切り込みを入れてさまざまな強度を試す引裂試験機にかけると、私たちの希望よりも、たやすく裂けてしまう素材もありました。あるいはベルクロテープのザラザラした面を激しく擦りつける摩耗試験機にかけると、ボロボロになってしまう素材もありました。私たちがリサイクル素材で作るスノー用シェルはどれも、バージン素材で作られたものと同じ耐久性を備えていなければならず、そうでなければ世には送り出しません。
今秋のパタゴニアのスノー製品は、人気のパウダー・ボウル・ジャケットを含む77%がリサイクル素材を使用しながら、こうしたテストに合格しました。これにより、より多くのペットボトルやナイロンが廃棄物という流れから救われ、私たちが製造するスノー製品に再利用されたことになります。いまや、かつてはゴミとされていたこのような素材が豊富に入手できるようになり、業界を変える可能性が訪れています。私たちはまた、他のブランドもリサイクル素材を使いはじめてくれることを願っています。
「アイデアがたしかなものならば」と、ウィットマイアはつづけます。「それを実現することはできます。道が私たちのために切り開かれていることは稀ですが、私たちはよろこんでそれを切り開きます」
パタゴニアのウェブサイトにてスノー・コレクションをご覧ください。