ウールの温かさを取り戻すための冷却期間を祝う
2015年、パタゴニアは「動物の人道的扱いを保証する検証可能な製造過程をお客様に約束できるようになるまで」ウールの調達を一旦停止するという意識的な決断をくだしました。
私たちはこの目標を達成できたこと、そして2018年の秋シーズンよりパタゴニア製品に使われるすべてのウールが、牧場から最終製品にいたるまで、責任あるウール水準(Responsible Wool Standard(RWS))の認定を受けているとご報告できることをうれしく思います。さらに、私たちの鍵となるパートナーは、パタゴニアのウール規格(PWS)に定められたよりもさらに厳しい条件を満たしています。動物福祉と土地管理における最善慣行を熟考し、牧場、動物福祉専門家、ブランド、そして非営利団体と協議をした結果、RWSおよびPWSの開発が成されました。パタゴニアのウール規格はこちらをご覧ください。
責任あるウール調達をより広げるための戦略のひとつとして、私たちは羊牧場だけでなく、製造サプライチェーン全体でRWSの認証を得るべく取り組みました。これは調達元/トップメーカー(刈りたての、または油にまみれたウールの最初の洗浄/加工元)、紡績工場(洗浄されたウールを糸に紡ぐ工場)、そして最終製品工場までのすべてに、厳格な一連の保管方法があることを保証する監査を受けたことを意味します。この努力は複数国のサプライチェーンに及びました。2015年にはRWS認証済みのウール牧場も加工所も存在しませんでしたが、その後パタゴニアとその他の懸念を抱くブランド、サプライヤー、そして牧場は、産業内におけるRWSの採用をより拡大する手助けをしました。
それだけではありません。牧場から最終製品工場まで、パタゴニアのサプライチェーンが「クラス最高」であることを保証するために、私たちのブランドもまた認証を得なければなりませんでした。これにより、多くの部署が仕事のやり方を変え、配送センターにおけるRWSの実地監査を受けなければなりませんでした。最終段階の認証を得たことは、パタゴニアにとって重要なマイルストーンとなりました。
課題を克服する
大掛かりなすべての調達元の変更と同じように、私たちはこの過程で多くのことを学びました。以下はその数例です。
サプライチェーンの追跡可能性
世界的なウール市場の特徴であるコンソリデーター、エージェント、トレーダーの数のため、ウールを調達する大多数のブランドは、ウールをある牧場に位置付けることすらほぼ不可能です。不断の努力のもと、私たちが牧場までの可視性を提供する意欲とサプライチェーン全体にわたって追跡可能性を保証してくれるウールのサプライヤーを見つけることができたのは幸運でした。
志を同じくするウールのパートナーを見つける
私たちの最大の課題はパタゴニアとともにこの旅を歩み、品質だけでなく、動物福祉と土地管理面におけるウール調達の条件を受け入れてくれるサプライヤーを見つけることでした。パタゴニアのウール規格は、羊が牧場によって売却されたあとにつづく過程に関連する2つの追加要件(食肉処理場に輸送されたとき、そして実際の食肉処理場の状況)により、満たすことが最も困難なものです。牧場が羊の購買者から輸送と食肉処理の情報を得なければならないからです。動物の価値の大部分がウールではなく食肉にあるため、食肉購買者にはアパレルブランドの私たちよりも大きな影響力があります。しかしながら、私たちはこれができることを心から信じ、推奨サプライヤーの一部となるという前進を望んだすばらしいサプライヤーを見つけることができました。
私たちはパタゴニアの条件が牧場に試練を与えたことを認識しています。何百年もの伝統のある牧羊慣行を変えさせることとなったからです。これが困難なことであることを知る一方で、私たちは彼らがすべての課題を克服するのを目撃し、それに刺激を受けました。私たちの前進的な牧羊パートナーは何よりもまず、生活の糧でありその遺産である動物とその土地を気遣い、パタゴニアの規格をもって、これまでに私たちが知る最も厳格な動物福祉慣行を達成するための入念な計画を立てました。また、私たちの羊を飼育する人びとが、市場の変動、立法/政策開発、気候変動、その操業のための基金取得、そして次世代の牧場の訓練の保証という信じがたいビジネスの課題に直面しつづけているということを認識するのも重要です。彼らがパタゴニアのパートナーとして厳しいウール規格に向き合ってくれることを光栄に思い、彼らの忠誠に喝采を送ります。