データマートとは

データマートの定義

データマートは、1つのサブジェクトまたはビジネスラインに焦点を絞った簡易形式のデータウェアハウスです。データマートを利用すれば、チームはより迅速にデータにアクセスし、インサイトを得ることができます。なぜなら、複雑なデータウェアハウス内の検索や、異なるソースからのデータの手動集計に時間を費やす必要がないためです。

データマートを作成する理由

データマートは、組織内の特定のチームや事業部門が必要とするデータに簡単にアクセスできるようにするものです。例えば、マーケティング・チームがホリデーシーズンのキャンペーンのパフォーマンスを向上させるためのデータを探している場合、複数のシステムに散在するデータを選別して組み合わせるとなると、時間、正確性、そして費用の面で大きな負担となる可能性があります。

様々なソースからデータを探し出すことを余儀なくされたチームは、そのデータを共有しコラボレーションを行うためにスプレッドシートに頼ることがほとんどです。その結果、人為的なミスや混乱、複雑な照合作業、複数の情報源など、いわゆる「スプレッドシートの悪夢」と呼ばれる事態が発生します。データマートは、レポートやダッシュボード、ビジュアライゼーションを作成する前に、必要なデータを収集・整理する一元的な場所として普及しています。

データ・マート、データレイク、データウェアハウスの違いについて

データ・マート、データレイク、データウェアハウスは、それぞれ異なる目的とニーズを持っています。

データウェアハウス は、組織全体のビジネス・インテリジェンスと分析をサポートするために設計されたデータ管理システムです。データウェアハウスには、履歴データも含め、大量のデータが格納されていることが多々あります。データウェアハウス内のデータは、通常、アプリケーションのログ・ファイルやトランザクション・アプリケーションなど、さまざまなソースから取得されます。データウェアハウスには、通常、目的が明確に定義された構造化データが保存されています。

データレイクは、企業が大量の構造化および非構造化データ(たとえば、ソーシャルメディアからのデータやClickstreamデータ)を保存し、リアルタイム分析やデータ・サイエンス、機械学習にすぐに利用できるようにするものです。データレイクでは、データはそのままの形で取り込まれ、変更されることはありません。

データレイクとデータウェアハウスの主な違いは、データレイクは膨大な量の生データを、事前定義された構造なしに保存することです。企業は、データがどのように使用されるかを事前に知る必要はありません。

データマートは、販売、財務、マーケティングなど、1つのサブジェクト、またはビジネスラインに焦点を当てた、簡易形式のデータウェアハウスです。そのため、データマートは、データウェアハウスに比べ、より少ないソースからデータを取得します。データマートのソースとしては、社内の業務システム、中央のデータウェアハウス、外部データなどがあります。

データマートのメリット

チームや特定の業務に特化したデータマートには、いくつかの利点があります。

  • 信頼できる唯一の情報源(SSOT)。データマートの一元的な性質により、部門や組織のすべてのユーザーが同じデータに基づいて意思決定できるようになります。これは大きなメリットです。データとそれに基づく予測が信頼できるため、関係者はデータそのものについて議論するのではなく、意思決定とアクションに集中できるようになります。
  • データへの迅速なアクセス。特定のビジネスチームやユーザーは、エンタープライズ・データウェアハウスから必要なデータのサブセットに迅速にアクセスし、他のさまざまなソースからのデータと組み合わせることができます。一度、目的のデータソースへの接続が確立されれば、IT部門に定期的な抽出を依頼することなく、必要な時にデータマートからライブ・データを取得することができます。その結果、ビジネスチームとITチームの両方が生産性を向上させることができます。
  • より迅速なインサイトが、より迅速な意思決定につながる。データウェアハウスが企業レベルの意思決定を可能にするのに対し、データマートは部門レベルのデータ分析を可能にします。アナリストは、財務や人事などの分野で特定の課題や機会に焦点を絞ることができ、データからインサイトを素早く得ることで、より適切で迅速な意思決定を可能にします。
  • よりシンプルで迅速な実装を実現。企業全体のニーズに対応するためにエンタープライズ・データウェアハウスを構築するには、多大な時間と労力が必要です。一方、データマートは、特定のビジネスチームのニーズに応えることに重きを置いており、必要なデータセットも少なくて済みます。そのため、よりシンプルで迅速な実装が可能となります。
  • アジャイルでスケーラブルなデータマネジメントを実現。データマートは、過去のプロジェクトで収集した情報を現在のタスクに役立てるなど、ビジネスニーズと連動したアジャイルなデータ管理システムを提供します。チームは、新しい分析プロジェクトや進化する分析プロジェクトに基づいて、データマートを更新・変更可能です。
  • 非定常解析。データ分析プロジェクトの中には、短期間のものもあります。たとえば、チームミーティングに先立ち、2週間のプロモーションのオンライン売上を具体的に分析するといったものです。このようなプロジェクトのために、チームはデータマートを迅速にセットアップすることができます。

データマートのクラウド移行

ビジネスチームは、戦略を立てたり、日々の意思決定を改善したりするために、よりアジャイルでデータドリブンになるよう努力を続けています。しかしその一方、増え続けるデータをインサイトに変換することは困難だと感じています。CFOは1日平均2.24時間かけて、スプレッドシートに目を通しています。ビジネスチームは通常、IT部門に助けを求めます。しかし、より多くの異種データソースへのアクセス、増え続けるデータ量、より速いクエリ時間といったビジネスユーザーの要求に、ITチームが対応できないこともあります。

また、データマートを構築することは、すでに重い業務負担を負っているITチームにとっては悩みの種です。なぜなら、データマートを継続的に管理し、データのセキュリティを確保する必要があるのは、彼らだからです。データマートをクラウドに移行することで、管理業務やセキュリティ業務をクラウド・サービスプロバイダーに託し、手動操作の必要性を減らすことで、ビジネスチームとITチームの両方の懸念を払拭し、運用コストを削減することができます。

Oracle Autonomous Databaseにより強化されるクラウド・データマート

オラクルは、ビジネスチームが迅速な意思決定を行うために必要な、詳細で信頼性の高い、データドリブンのインサイトを得ることができる、完全なセルフサービス型ソリューションを提供します。

ビジネスチームは、空間データやグラフ・データなど、コンバージド・データベース内のさまざまなソースやフォーマットにまたがる必要なすべてのデータを迅速に組み合わせ、データマートが提供する信頼できる唯一の情報源(SSOT)を中心に、安全なコラボレーションを推進することができます。アナリストは、セルフサービスのデータツールと組み込みの機械学習(コーディング不要)を簡単に活用できます。データの読み込み、変換、準備を加速させ、データのパターンやトレンドを自動検出、予測し、透明性のあるデータに基づいてインサイトを得ることができます。

ガバナンスが効いた、セキュアなオラクルのソリューションにより、IT部門はリスクを低減することができます。さらにITチームは、各ビジネス部門からのデータ分析に関するあらゆるリクエストに対して、シンプルで信頼性が高く、繰り返し可能なアプローチを適用できるため、生産性が大幅に向上します。

Oracle Autonomous Database for analytics and data warehousing は、プロビジョニング、構成、セキュリティ、チューニング、スケーリング、パッチ適用、バックアップ、および修復を高度に自動化します。これにより、人的ミスを招く可能性のある手作業や複雑なタスクのほとんどすべてが不要になります。組み込みのデータツールは、データマートに対し、シンプルなセルフサービスのデータ読み込み、データ変換、ビジネスモデリング、自動インサイトの機能を提供します。DBAは、日常のデータベース管理でなく、新しいアプリケーションの設計や、ビジネス部門の目標達成の支援に力を注ぐことができます。たとえピーク時でも、任意の数の同時ユーザーに対して安全なデータアクセスと一貫性のある高いクエリパフォーマンスを実現することによって、財務、人事、またはマーケティング部門のビジネスユーザーを支援します。Autonomous Databaseは、ダウンタイムを発生させることなく、ワークロードのニーズに応じて自動的にスケーリング可能です。