ボーイングは、2024年4月に日本初となる研究開発センターを名古屋に開設しました。
ボーイングの技術戦略の中核をなす研究開発センターは、米国に5カ所、米国外には日本を含む7カ所に拠点があります。
ボーイングと日本の航空宇宙産業との関わりは深く、787型機や777型機の主要部品のほか、ライセンス供与によりF-15戦闘機やCH-47輸送ヘリコプターなどが名古屋を含む東海地方で製造されています。また、日本はボーイングにとって米国外で最大のサプライヤー拠点です。
名古屋に開設された研究開発拠点(名称「ボーイング ジャパン リサーチセンター」)は、ボーイングと日本のパートナーとの協業拡大や持続可能な航空機技術の開発を推進します。同センターは、主に以下の研究開発を行っています。
- 製造技術インテグレーション (Manufacturing Technology Integration, MTI): 既存かつ将来のサプライヤーの製造能力やリスクを検証し、製造認定に向けた事前準備とその工程開発を支援。また、緊急の製造トラブルに対し迅速なサポートを提供し、長期の工程改善やコスト削減に向けた取り組みを推進。
- 航空機の設計や製造に取り入れるための最新デジタルツール: モデルベース・エンジニアリングによる革新的製造技術の開発。また、デジタルツールを使った新しい航空機の開発に必要なビジネス・プロセス・ガイドを作成。
- 複合材: 日本の複合材料メーカーは世界トップレベルの製造技術を誇ります。環境負荷を軽減しながら、軽量な複合材部品の生産能力を飛躍的に向上させる材料技術や、複合材のリサイクル方法を研究。
- 持続可能な航空燃料 (Sustainable Aviation Fuel, SAF): ボーイングは2030年までに民間航空機が100%SAFで飛行できることを目指します。また、航空業界は2050年までに二酸化炭素の排出量を実質ゼロにする目標を設定し、その達成への重要な役割を担うSAF製造技術の開発を促進。
- 水素技術統合プロジェクト: 航空機の水素燃料電池推進システムのフィージビリティ(実現可能性)を研究。主に、技術的な成立性、経済的な実行性、そして気候環境への影響を考察。
- ロボティックス: 製造現場における安全性や品質向上に貢献するロボット技術の開発。航空機製造工程における狭い閉鎖空間の中で、手動による組立工程の排除を可能にする独自の機体製造ロボットの研究。
現在、ボーイング ジャパン リサーチセンターではさまざまな専門分野とバックグラウンドを持ったおよそ30人のエンジニアが新しい航空宇宙技術の研究開発に取り組んでいます。今後、同センターは50人体制に拡大します。
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