- 日銀によるマイナス金利政策の解除は、住宅ローンの変動金利への影響は今のところ少ないです。
- 「5年ルール」や「125%ルール」といった緩和措置で、急激な返済額の増加は抑制されますが、返済期間の延長や未払い利息の発生には注意が必要。
- 今後は金利の変動を注視し、売却を検討している人はタイミングの判断をプロに相談しましょう。
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目次
マイナス金利政策とは?
2024年8月時点で、マイナス金利解除によって、住宅ローン金利や不動産価格への影響はさほどありません。しかし、今後金利が上昇していくことが想定されるため、リスクに備えた対策を講じることが大切です。
マイナス金利政策とは、中央銀行(日本では日本銀行)が金融機関から預かっている当座預金の一部に対して-0.1%の金利を適用するものです。マイナス金利を適用することで金融機関が企業への貸し出しや投資に対して資金を回すことを促し、経済の活性化とデフレからの脱却を目的としています。
政策の導入後、企業への貸出金利や住宅ローン金利が大幅に低下した一方、物価の上昇には繋がらず、金融機関の収益が圧迫されるなどの副作用が表面化するといったデメリットも生じました。
マイナス金利政策が解除された背景
また、同時に日本銀行が政策金利の引き上げ(0%~0.25%に誘導目標)を決定したのは、2007年2月以来、約17年ぶりの出来事です。日本ではマイナス金利が長期間続いていましたが、これは経済的に見て例外的な状況だったといえるでしょう。
今回の政策変更により、日本の金融政策は通常の状態へと戻る流れとなり、実質的に金利が機能する経済環境が整うことになります。
住宅ローンにおける金利の決まり方
固定金利
固定金利の利点は、将来の返済額が見えることでしやすく、資金計画が立てやすいことです。金利が上昇しても影響を受けないため、安定志向の借り手に適しているといえるでしょう。一方で、金利が下がった場合にその恩恵を受けられない点には注意が必要です。
変動金利
変動金利の最大の特徴は、市場金利の変動に応じて金利が上下することです。金利が下がれば返済額も減少するため、借り手にとってメリットがあります。しかし、金利上昇時には返済額が増加するリスクがあり、将来の返済計画が立てにくいという側面もあります。
一般的に、変動金利は固定金利よりも低く設定されますが、これは金利変動リスクの一部を借り手が負担するためです。また、多くの金融機関では、返済額の急激な増加を防ぐため、金利が上昇しても一定期間は返済額を据え置く仕組みを採用しています。
どちらの金利タイプを選択するかは、借り手の経済状況や将来の見通し、リスク許容度によって異なります。また、昨今では固定金利と変動金利を組み合わせたハイブリッド型の商品も登場しており、借り手のニーズに応じた選択肢が増えているといえるでしょう。金融機関の担当者と相談するほか、時にはFPなど専門家のアドバイスを受けながら、自身に最適な方式を選ぶことが大切です。
マイナス金利解除が住宅ローン金利に与える影響
固定金利型ローンの場合
すでに固定金利型ローンを組んでいる借入者には直接的な影響はありませんが、借り換えを考えている場合や今後新規での借り入れを考えている場合にはタイミングを慎重に検討する必要があるでしょう。
変動金利型ローンの場合
しかし、時間の経過とともに徐々に政策金利の引き上げが進めば、変動金利型ローンの金利も徐々に上昇していく可能性がある点に注意が必要です。
また、変動金利型ローンには借り入れ開始時から5年は返済額が固定される「5年ルール」や、金利が上昇しても当初の1.25倍を超えないように制限する「125%ルール」といった緩和措置が設けられています(たいていはありますが、金融機関によります)。これらのルールによって、金利上昇時における返済額の急激な増加は抑制されますが、返済期間が延長される可能性があるでしょう。
また、金利の上昇が大きい場合、返済額のうち利息の占める割合は増加してしまい、「未払い利息」が生じるケースも少なくありません。そうなると、住宅ローン残高が徐々に増加してしまうリスクがある点に注意しましょう。
住宅ローンの金利上昇のリスクに備えるには
借り換えを検討する
繰り上げ返済を検討する
なお、繰り上げ返済には、返済額を変えずに返済期間を短縮できる「期間短縮型」と返済期間を変えずに毎月の返済額を減らせる「返済額軽減型」の2種類があります。今後の資金計画を立てたうえで、どちらか適切か判断するとよいでしょう。
金利上昇を考慮したシミュレーションを行う
なお、実際に金利が上昇して返済額が増えた際にも、繰り上げ返済をすべきか否かなどの判断材料としても有効です。
借入金額を少なくする
気になる不動産価格への影響は
もちろん、マイナス金利政策の解除が与える影響の度合いは物件の特性や地域性、経済全体の動向によっても大きく異なります。都市部の高額物件は影響を受けやすい一方、地方や中低価格帯の物件では影響が限定的な場合もあるでしょう。今後の金利動向をチェックしていくことはもちろん、市場動向なども注視しながら、慎重に判断を下していくことが大切です。
まとめ
不動産価格は金利動向にも連動します。
地域や経済のニュースに目を向けておきましょう!
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この記事の監修者
不動産エコノミスト/社団法人 住宅・不動産総合研究所 理事長
(株)船井総合研究所上席コンサルタント、等を経て現職。不動産・住宅分野におけるデータ分析、市場予測、企業向けコンサルなどを行うかたわら、ラジオNIKKEI「吉崎誠二の5時から”誠”論」などテレビ、ラジオのレギュラー番組に出演。また新聞社をはじめ主要メディアでの招聘講演は年間多数。
著書:「不動産サイクル理論で読み解く 不動産投資のプロフェッショナル戦術」(日本実業出版社)など11冊。
住宅ローンは、年々、色んなタイプの商品が開発されています。付帯条項が充実しているもの、固定と変動金利を組み合わせたものなど、また金利の優遇にも色々なパターンがあります。とくに、10年以上前に住宅ローンを借りられた方は、そのままにしておかず、一度専門家などに相談してみると、意外に「借り換えた方がオトク」に出会えるかもしれません。年々変化する携帯電話のプランのようなイメージです。