相続した不動産を売却する時にかかる税金|特別控除や注意点を解説します

2024.07.29更新

この記事の監修者

織瀬 ゆり
織瀬 ゆり

宅地建物取引士/AFP/2級FP技能士など

相続した不動産を売却する時にかかる税金|特別控除や注意点を解説します

相続した不動産を売却した時にかかる税金や、節税に使える控除・特例について、詳しく解説します。

この記事のポイント
  • 相続した不動産を売却する際、相続税とは別に、譲渡所得税などの税金がかかる場合があります。
  • 節税に使える特例や控除の適用条件に当てはまるかどうか確認しておくとスムーズです。
  • 相続人同士で十分話し合い、相続登記をしたうえで売却手続きを進めましょう。

不動産の一括査定依頼はこちらから無料

2,300社の中から1番条件の良い不動産会社が見つかる!

  • 大成有楽不動産販売
  • 東京建物不動産販売
  • 住友林業ホームサービス
  • スターツピタットハウス株式会社
  • Century21
  • STEP1都道府県

  • STEP2市区町村

無料査定スタート
powered by HOME4U

※ページ下部の「売却査定、買取査定サービスの注意点」をご確認いただいたうえ、ご利用ください。

目次

相続した不動産の売却にかかる税金

相続不動産を売却した場合に生じる税金について、それぞれ解説します。

譲渡所得税

譲渡所得税とは、不動産を売却して得た利益(譲渡所得)に対して課税される所得税です。不動産の所有期間に応じて、以下のように税率が異なります。

■譲渡所得税の税率
区分所有期間※所得税の税率
短期譲渡所得5年以下30%
長期譲渡所得5年超15%
※所有期間は売却した年の1月1日時点の所有期間

なお、譲渡所得は以下の計算式で求められます。
譲渡所得=譲渡収入金額-(取得費+譲渡費用)
ここでいう「譲渡収入金額」とは、譲渡した際の売却価格のことを指し、「取得費」は購入時の価格や必要になった費用、「譲渡費用」は売却に要したお金のことです。不動産会社に支払った仲介手数料や印紙税が該当します。また、譲渡所得がプラスにならなければ譲渡所得税が課税されることはありません。

特例や控除を活用し、できる限り譲渡所得をおさえるようにしましょう。

織瀬ゆり
織瀬ゆり

登録免許税

登録免許税は、不動産を売却した際に行う名義変更(所有権移転にともなう不動産登記)において必要となる税金を指します。登録免許税の額は登記の種類によって異なり、相続登記に伴って適用される税率は次のとおりです。

■土地の所有権の移転登記
内容課税標準税率
相続、法人の合併又は共有物の分割不動産の価値1,000分の4
■建物の登記
内容課税標準税率
相続又は法人の合併による所有権の移転不動産の価格1,000分の4
なお、課税基準となる「不動産の価額」は市区町村役場で管理している固定資産課税台帳の価格となります。不動産の価額がわからない場合、市区町村役場で確認しておきましょう。

印紙税

印紙税とは、経済取り引きで作成された文章に対して課される税金で、税額は売買代金によって以下のように異なります。

■ 印紙税の税額
記載金額本則税額軽減税率
100万円~500万円以下2,000円1,000円
500万円~1,000万円以下10,000円5,000円
1,000万円~5,000万円以下20,000円10,000円
5,000万円~1億円以下60,000円30,000円
1億円~5億円以下100,000円60,000円
※平成26年4月1日から令和9年3月31日までの間に作成される不動産売買契約書は軽減措置で税額が低くなります。詳しくは「不動産売買契約書の印紙税の軽減措置|国税庁」にてご確認ください。
印紙税は売買契約書を交わす際、契約書に記載された金額に応じた収入印紙を貼付し、消印をすることで納税します。

必要な額の収入印紙が貼られていない、印紙額が不足しているといった場合には過怠税が課される恐れがあるので、十分に注意しましょう。

織瀬ゆり
織瀬ゆり

節税に使える特例・控除

ここでは、節税が期待できる特例・控除について取り上げます。

取得費加算の特例

取得費加算の特例とは、相続で取得した土地や建物などを売却した時の利益(譲渡所得)を計算する際、相続税額のうちの一定金額を取得費に加算できる制度のことです。相続開始日から3年10か月以内に相続不動産を売却した場合に限り、適用できます。

なお、取得費加算の特例を適用するためには、以下の条件を満たす必要があります。
・相続または遺贈によって財産を取得した人であること
・相続税の課税対象者であること
・その財産を、相続開始のあった日の翌日から相続税の申告期限の翌日以後3年を経過する日までに譲渡していること(相続税の申告期限は、原則として相続開始日から10か月)
取得費加算の特例を適用できるかどうかは、国税庁が作成するチェックシートで判断可能です。

また、確定申告で譲渡所得税を申告する際はチェックシートの添付が必要となるので、注意しましょう。

織瀬ゆり
織瀬ゆり

相続空き家の3,000万円特別控除

空き家を相続した場合、一定の要件を満たすことで3,000万円の特別控除を利用できます。
譲渡所得=譲渡収入金額-(取得費+譲渡費用)-特別控除3,000万円
大きな節税効果が見込める一方で、以下の条件を満たす必要があります。
・空き家が昭和56年(1981年)5月31日以前に建築されたものであること
・区分所有建物登記がされていない建物であること
・相続開始時点で故人以外に居住者がいなかったこと
詳細は国税庁の「No.3306 被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例」にてご確認ください。

居住用財産の3,000万円特別控除

売却した不動産が居住用財産(マイホーム)であった場合に、適用される控除です。たとえば、夫婦で一戸建てに住んでいて夫が亡くなり妻が相続した場合や、親子でマンションに住んでいて親が亡くなって子が相続した場合などに、この控除の適用対象となります。
譲渡所得=譲渡収入金額-(取得費+譲渡費用)-特別控除3,000万円
譲渡所得から最高で3,000万円を控除できるため、譲渡所得にかかる税金を大きく節税できる一方で、こちらも一定の条件を満たさなければなりません。
・自分が住んでいる家屋、または家屋とあわせて敷地や借地権を売却すること
・家屋を取り壊していた場合、譲渡契約までの期間で土地を他の用途に供してないこと
・売却した年、その前年および前々年にマイホームの買換特例などを利用していないこと
・売り手と買い手の関係性が親と子、あるいは夫婦など生計を1にする親族でないこと
・別荘など娯楽を目的として所有しているわけではないこと
・一時的な居住を目的としていないこと
詳しくは国税庁のホームページ「No.3302 マイホームを売ったときの特例」にてご確認ください。

低未利用土地などの100万円特別控除

令和2年7月1日から令和7年12月31日までの期間に、都市計画区域内にある一定の低未利用土地などを500万円以下で売却した人のうち、一定の要件を満たしている場合に適用される控除です。500万円以下の土地が要件となるため、利用しやすい控除の1つといえるでしょう。

詳しくは国税庁のホームページ「No.3226 低未利用土地等を譲渡した場合の長期譲渡所得の特別控除」にてご確認ください。

1,000万円特別控除(平成21年および平成22年に取得した土地について)

親が平成21年または平成22年に土地を購入していた場合、それぞれ平成27年以降、平成28年以降に売却することで適用される控除です。詳しくは国税庁のホームページ「No.3225 平成21年及び平成22年に取得した土地等を譲渡したときの1,000万円の特別控除」にてご確認ください。

不動産売却の税額シミュレーション

4,800万円で購入したマイホームを5,500万円で売却したケースです。物件の所有期間は7年、諸費用は500万円として「3,000万円の特別控除」が使える場合のシミュレーションとします。

▼譲渡所得税・住民税(「復興特別所得税」含む)の計算式
(売却価格 – 購入価格 – 諸費用 – 特別控除)
=(5,500万円-4,800万円-500万円-3,000万円)
=▲2,800万円

上記より、答えがマイナスとなることから、譲渡所得税・住民税(「復興特別所得税」含む)は課税されずに0円となります。

相続不動産を売却する時の悩みは税金だけではない

ここでは相続不動産の売却に関してよくある悩みをまとめてみました。

【悩み1】相続不動産を放置するリスクを知りたい

相続不動産を空き家状態のまま長期に渡って放置してしまうと、建物が倒壊する恐れがあるほか、害虫や害獣のすみかになったり、犯罪の温床になったりするがあります。手入れをするにも、管理費や修繕費がむだにかさんでしまい、負担となる恐れが高いでしょう。

【悩み2】相続不動産を換価分割したい

換価分割とは相続不動産を売却し、そこで得た利益を法定相続人の間で分配する方法のことです。公平に遺産分割できるほか、評価を巡る争いが生じないのがメリットである一方、税金が発生する点に注意が必要です。

また、換価分割する際は遺産分割協議書の書き方が「共同登記」と「単独登記」の2つに分けられます。いずれもメリット・デメリットがあるため、法定相続人同士でしっかりと話し合うことが大切です。また、以下の記事でも詳しく紹介しているので、あわせて参考にしてください。

【悩み3】いつ売却するのが得策か知りたい

土地のタイミングは状況によってさまざまであり、一概にベストなタイミングはありません。しかし、相続不動産を空き家のまま放置する恐れが高いのであれば、なるべく早期に手放した方がむだな支出を避けられるでしょう。

一方で、経済的に余裕があるのであれば、土地の需要が高まったタイミングで売却することで、まとまった収益を得られる可能性が高まります。

相続税の納税資金に充てたい場合は早めに行動すべきでしょう。

織瀬ゆり
織瀬ゆり

相続不動産売却にともなう4つの注意点

相続した不動産を売却する場合、主に以下の4つのポイントに注意が必要です。それぞれ見ていきましょう。

【ポイント1】相続登記を忘れないようにする

たとえ相続した不動産をすぐに売却する場合でも、必ず相続登記を行わなくてはなりません。なぜなら、不動産の所有者が相続人であることを売買の関係者に証明するためには、登記上の名義人の必要があるからです。

もし相続登記を行わずに放置していた場合、不動産は相続人たちの共有財産と判断されてしまい、売却できない恐れがあるほか、ペナルティの対象になるケースもあるため注意が必要です。

【ポイント2】複数の相続人がいる場合は事前に話し合いをする

たとえば実家が不動産となれば、相続人が複数いるため売却するか否か意見がまとまらないケースも見受けられます。とくに不動産に対してあまり知識がない相続人がいる場合、相続方法や相続後の扱いについて不公平感が出ることも少なくありません。トラブルを避けるためにも、事前に相続人同士で話し合いをすることが大切です。

【ポイント3】悩んだら専門家のアドバイスをもらう

相続不動産の売却は非常に手続きが複雑となるため、できるだけ専門家にアドバイスをもらうことをおすすめします。専門家にアドバイスをもらうことで、今後の進め方や流れが把握できるほか、相続人間のトラブルも回避できるでしょう。

【ポイント4】売却の翌年は必ず確定申告を行う

不動産売却をした場合は、翌年の2月16日~3月15日の間に確定申告を行う必要があります。確定申告を行わなかった場合にはペナルティが加算されるほか、控除および特例を利用できなくなる恐れがあります。

ただし、譲渡所得がマイナスになる場合には確定申告が不要となることから、状況に応じて適切な対応をするようにしましょう。

織瀬ゆり
織瀬ゆり

まとめ

相続した不動産を売却する際には、譲渡所得税、登録免許税、印紙税などの税金がかかります。節税に使える主な特例・控除として取得費加算の特例、相続空き家の3,000万円特別控除、居住用財産の3,000万円特別控除などがありますが、それぞれの適用要件を理解し、相続人同士で十分な話し合いを行うことが重要です。売却した翌年には必ず確定申告を行い、税金の計算と申告を怠らないようにしましょう。

また、相続不動産の売却にあたっては不動産の価値をしっかりと把握しておくことが欠かせません。不動産の価値を適正に把握するためにも、物件の無料査定をおすすめします。

相続不動産ならではの注意点を事前におさえて、
不動産売却を行いましょう。

不動産の一括査定依頼はこちらから無料

2,300社の中から1番条件の良い不動産会社が見つかる!

  • 大成有楽不動産販売
  • 東京建物不動産販売
  • 住友林業ホームサービス
  • スターツピタットハウス株式会社
  • Century21
  • STEP1都道府県

  • STEP2市区町村

無料査定スタート
powered by HOME4U

※ページ下部の「売却査定、買取査定サービスの注意点」をご確認いただいたうえ、ご利用ください。

この記事の監修者

織瀬 ゆり
織瀬 ゆり

宅地建物取引士/AFP/2級FP技能士など

元信託銀行員。複数の金融・不動産資格を所持。それらの知識をもとに、「初心者にもわかりやすい執筆」を心がけている。子育て世帯向けの資産形成、女性向けのライフプラン記事を得意とする。

●紹介されている情報は執筆当時のものであり、掲載後の法改正などにより内容が変更される場合があります。情報の正確性・最新性・完全性についてはご自身でご確認ください。
●また、具体的なご相談事項については、各種の専門家(税理士、司法書士、弁護士等)や関係当局に個別にお問合わせください。

売却査定、買取査定サービスの注意点

  • リンク先の売却査定/買取査定サービス(以下「提携先サービス」という)は、当社提携先の以下各社が適用するサービスとなります。

売却査定:株式会社NTTデータ スマートソーシング

買取査定:株式会社リビン・テクノロジーズ

提携先サービスについて

  • 株式会社カカクコムは、提携先サービスでご入力いただいた情報を保有しておりません。個人情報を含む査定依頼データは、全て提携先が厳重に管理し、同社から不動産会社に開示されます。提携先・不動産会社での個人情報等の取扱いに関しては、各社のプライバシーポリシー等をご確認ください。

個人情報の取り扱いについて

  • 査定依頼可能な企業数は、お住まいの地域やお客様の物件のタイプによって異なります。
  • お客様の物件の状態によっては査定ができない場合もございます。ご了承ください。
  • 提携先サービスの提供は日本国内(一部離島等を除く)に限らせて頂きます。
  • 査定結果について、提携先の各不動産会社から直接連絡をいたします。
  • 査定後の不動産の売却、買取について、株式会社カカクコムおよび提携先は関与いたしません。
  • 提携先サービスは、セキュリティを保つために情報を暗号化して送受信するSSL(Secure Sockets Layer)機能に対応しています。ご利用の際はSSL対応ブラウザをお使いください。
  • 提携先サービスについてご不明な点がございましたら以下よりお問い合わせください。株式会社カカクコムではお答えできません。

売却査定:「HOME4U サービスに関するお問い合わせ」

買取査定:「リビンマッチ サービスに関するお問い合わせ(0120-935-565)」

カテゴリから探す

記事で解決!不動産売却のアレコレ

答えが気になったら、記事をクリック!