老後の住み替えタイミングは?4つの選択肢や物件選びのコツを解説します

2024.08.07更新

この記事の監修者

キムラ ミキ
キムラ ミキ

AFP/社会福祉士/宅地建物取引士/金融広報アドバイザー

老後の住み替えタイミングは?4つの選択肢や物件選びのコツを解説します

住み替えを考えるなら老後に生活しやすい家がよいと考える方に向けて、注意点や、どんな家に住み替えるのがよいかご説明します。

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目次

老後に向けて住み替えをするタイミングは?

老後に向けて住み替えを検討するきっかけとしては、子供の自立による家族構成の変化のほか、退職によって環境が変わったこと、または体調の変化などが多いのではないでしょうか。

現在、賃貸住宅にお住まいであれば、老後生活の収支状況を踏まえて、物件取得のために無理のない資金計画を考える必要があります。また、今は持ち家にお住まいで、その売却資金を新しい物件取得のために充当するのであれば、査定を依頼する不動産会社や買主を探さなければなりません。

いずれにしても、希望する物件に出会うまでには時間を要しますし、住宅ローンの利用には年齢制限もあるため、老後の住み替えを検討する際は早めに動くことが望ましいでしょう。

老後に住む家を考える、4つの選択肢

老後に住む家と一口に言っても、いくつかの選択肢があります。それぞれのメリット・デメリットを理解し、自分にとって適しているのはどんな家なのか整理してから、物件探しをされるとよいでしょう。

一戸建てのメリット・デメリット

一戸建ては集合住宅と異なり独立した住宅なので、騒音などのトラブルが少ないと言えます。建物以外に土地も所有するため、資産性が高く土地の空きスペースは家庭菜園や駐車場として活用できる自由度があるのもうれしい点です。

ただ、維持管理およびセキュリティなどは自己責任となります。これらの各種管理に手間や費用がかかる点には、心積もりをしておきましょう。

また、物件にもよりますが室内に段差が多いこともありますし、2階にリビングがあるなど、間取りによって生活しづらい可能性もあるでしょう。

マンションのメリット・デメリット

マンションでは、基本的にワンフロアで生活できます。段差がほぼないマンションであれば、転倒などの事故の心配も少ないでしょう。また、セキュリティ性や気密性が高い点も、老後の生活において安心です。

ただ、マンションの場合は管理組合によって管理されるため、管理費や修繕積立金の支払いが必要になります。駐車場代も別途必要ですし、集合住宅であるため騒音トラブルなどが発生する可能性もあります。

二世帯同居のメリット・デメリット

子ども世代と一緒に住む二世帯同居を選択すると、身体機能や判断能力が衰えてきた時にサポートしてもらうことができ、心強いでしょう。

一方で、子供世代との生活リズムや価値観の違いによって、ストレスを抱えたり、関係が悪くなったりする可能性もあります。また、親世代は年齢によっては住宅ローンを組めない可能性もあるため、購入資金の負担割合をどのように考えるのか、慎重に話し合いをする必要があります。

シニア向け住宅のメリット・デメリット

シニア向け住宅(高齢者向け施設を除く)は、「サービス付き高齢者向け住宅」と「高齢者向け分譲マンション」の2つに大きく分けられます。それぞれに共通するメリットは、設備が充実しているため、身体機能が低下しても住みやすいという点です。また、見守りサービスがあることも安心して生活できるポイントでしょう。

ただ、「サービス付き高齢者向け住宅」は一般的な賃貸住宅より割高ですし、規模や設備内容にもよりますが「高齢者向け分譲マンション」も大きな費用がかかります。日々の生活費や介護および医療費を含め、支出に無理はないか確認しておく必要があるでしょう。

老後の住み替え資金はどう捻出する?

老後の住み替えをする際の資金は、住宅ローンや預貯金、退職金、また現在の住宅の売却益などから捻出することになるでしょう。いずれにしても、生活に支障がない資金計画かどうかを確認し、ご自身にとって最適な方法を見つけてください。

そのほか、老後の生活費などの捻出方法として「リバースモーゲージ」と「リースバック」という方法をご紹介します。

リバースモーゲージ

リバースモーゲージとは、所有している自宅を担保にして、金融機関から融資を受ける仕組みです。商品内容(金利、返済方法、使途など)は金融機関によってさまざまなので、いくつかのリバースモーゲージ商品を比較検討してみるとよいでしょう。

リバースモーゲージの契約者が亡くなった後、金融機関はその自宅を売却して返済に充てます。自宅を売却してもなお返済残高がある場合は、遺族に返済義務が生じるということも覚えておきましょう。

リースバック

リースバックとは所有している自宅をリースバックの運営会社に売却すると同時に、賃貸借契約を締結する仕組みで、自宅売却後も同じ家に住み続けることができます。資金計画上、住み替えが難しいために自宅に住み続けたい方で、一時的なキャッシュが必要という場合に便利な仕組みですが、家賃負担が継続する点には注意が必要です。

住み替え後、今の家は賃貸に出す?それとも売却する?

住み替えをする際は、現在の自宅をどうするかについてよく考える必要があります。

売却をする

現在の自宅を売却すれば、その収入を新しく住み替える家の取得費用に充てられます。ただ、売却に時間を要する場合もあるでしょう。

取得費用に充当する前提で売却を進めると、限られた時間の中で売却しなくてはならないため、買主から足元を見られ、大幅な値下げ交渉をされる可能性もあります。余裕を持った売却計画を立てるよう心がけておきましょう。

賃貸に出す

現在の自宅を賃貸に出せば、家賃収入を得られます。年金収入にくわえて月々安定した収入が得られる状況は心強いでしょう。

ただ、固定資産税などの税金負担、物件管理(メンテナンス、家賃回収、督促、苦情対応など)の手間や費用がかかります。また、賃貸に出すと住み替え物件を取得するための一時金を得られないため、資金計画を慎重に考える必要があります。

老後の住み替えを成功させるために知っておきたい、物件選びのコツ

住み替えで後悔しないためには、まずご自身がどのような生活を送りたいのかイメージしてみることが大切です。思い付くキーワードを書き出してみて、ご夫婦で優先順位を考えてみるのも楽しいですね。

ただ、老後は身体機能の低下も考えられます。希望するイメージと暮らしやすさの両面から、物件選びを考える姿勢が望ましいでしょう。老後の住み替えをするうえで知っておきたい、物件選びのポイントについてご説明します。

周辺環境

身体機能が低下すると、車で買い物をすることなどが難しくなる可能性があります。スーパーや病院など、生活利便施設が近い場所を選ぶようにしましょう。ただし、高齢者施設の位置関係を気にする必要はそれほどありません。

通所型の高齢者施設は送迎も行ってもらえますし、施設数も多いためです。関心のある施設があれば、送迎範囲に含まれているかどうか確認してみてください。

また、周辺に公園や交通量の少ない道路があると、日常的にウォーキングなどの運動がしやすいですし、比較的静かな環境で生活できるでしょう。

室内環境

年を重ねるにつれて、階段昇降が困難になったり、ちょっとした段差でつまずいたりするようになります。そのため、階段や段差ができるだけ少ない物件を選ぶことをおすすめします。バリアフリーであれば申し分ないでしょう。一戸建てでも、平屋であれば階段昇降をせずに生活を送ることができます。

まとめ

理想の老後生活のイメージはありますか?まずは、理想の暮らし方を考えてみることから始めてみましょう。その暮らし方を実現するにはどんな家に住む必要があるか、条件を立ててみるとわかりやすくなります。

住み替えには費用も必要です。現在の自宅をなるべく高く売却して住み替え費用に充当できれば、余裕のある住み替え計画を実現できるでしょう。住み替えを考える際には、自宅の査定依頼などを行い、資金計画の参考にしてみてはいかがでしょうか。

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キムラ ミキ
キムラ ミキ

AFP/社会福祉士/宅地建物取引士/金融広報アドバイザー

日本社会事業大学 社会福祉学部にて福祉行政を学ぶ。大学在学中にAFP(ファイナンシャルプランナー)、社会福祉士を取得。大学卒業後、アメリカンファミリー保険会社での保険営業を経て、(マンションデベロッパー)にてマンション営業、マンション営業企画に携わった。その後、2008年8月より独立し、現在、自社の代表を務める。

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