- 生活保護受給について、不動産は売却が原則ではあるものの、居住中の土地建物については保有してもよいとされています。
- 売却価格2,000万円程度の持ち家や誰も住んでいない相続物件の場合は売却を求められることも。
- 持ち家があるから生活保護は受けられない…と諦めず、まずは福祉事務所に相談してみましょう。
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目次
生活保護とは
生活保護受給の相談窓口は自治体の福祉事務所で、生活保護は世帯単位で支給されます。ただし預貯金や、生活に利用されていない土地・家屋などは売却するなどして、生活費に充てる必要があります。
また、働くことができれば働くことが求められ、年金制度の活用や親族からの援助が可能なら、そちらを優先する必要もあります。
そのうえで、収入が国の定める「最低生活費」に満たない場合、生活保護の受給が認められるのです。生活保護は、生活を営むために必要な以下の各種費用に対して支給されます。
・日常生活に必要な費用(食費・被服費・光熱費など)
・アパートなどの家賃
・義務教育を受けるために必要な学用品費
・医療サービスの費用
・介護サービスの費用
・出産費用
・就労に必要な技能の修得などにかかる費用
・葬祭費用
持ち家があっても生活保護は受けられる?
原則として、生活に利用されていない土地・家屋などがあれば、売却などをして生活費に充てる必要があります。ただし、持ち家があっても生活保護が受けられるケースは存在します。
どのようなケースであれば生活保護が受けられるのかについてご説明いたします。
持ち家のある生活保護受給者も存在する
これは生活保護受給世帯のおよそ3%なので、割合としては低く感じますが、実数としてはこれだけ存在するのです。
住み続けられる持ち家の条件
1 | 不動産については、売却することが原則 |
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2 | 被保護世帯の居住の用に供される家屋およびそれに付属する土地については、保有を容認し、保護を適用 |
3 | ただし、処分価値が利用価値に比して著しく大きいと認められる場合は、売却などによる資産の活用をしたうえで、保護の要否を判断 |
持ち家を売却する場合、その代替住居として賃貸住宅に住む必要があります。初期費用や家賃を考えると、生活保護を支給するよりも、そのまま持ち家に住んでいたほうが費用を抑えられるなど、合理的なケースもあります。
そのため、持ち家を有していても生活保護の受給が認められる可能性があるのです。
持ち家を売却しなければならないケース
【ケース1】4LDKに一人住まい
この場合、Aさんは、持ち家を売却しなければならないでしょう。+「4LDKの自宅を売却して得られる売却収入」と「単身者向け賃貸物件にかかる今後の費用」を比較すると、売却収入のほうが大きい可能性が高く、その売却収入の活用を優先するよう求められると考えられます。
+もちろん、売却想定価格は築年数やエリアなどにより異なるので一概に言えません。ただ、住宅ローンの支払いを生活保護でカバーすることは原則としてできないこともあわせると、やはりAさんは持ち家を売却する必要性が高いと考えられます。
売却を求められる目安
【ケース2】相続したが住んでいない
しかし残高も乏しくなり、生活保護の受給を検討しています。また近ごろ、遠方に住んでいる両親が他界したことにより、実家の土地建物を相続することになりました。
Bさんは実家の土地建物に居住していないため、生活保護の受給前に、まず実家の売却収入を活用するよう求められる可能性が高いでしょう。しかし、実家が立地するエリアや物件状況などにもよりますが、即時売却が難しいこともあります。
そのような場合は、売却できなくても生活保護を受給できるケースがあるため、まずは生活保護の窓口である福祉事務所に相談されてみるとよいでしょう。
よくある質問
- 生活保護受給中に不動産の相続が決まったら?
- 原則として、利用していない不動産は売却するのが原則です。ただしケーススタディでお話したとおり、エリアや物件状況などによりますが、即時売却が難しいケースもあります。まずは、生活保護の窓口である福祉事務所に相談してみましょう。
- 住宅ローンが残っていても受給できる?
- 住宅ローン残高がある場合、原則として生活保護を受けられません。これは、税金で個人の資産形成を支援することになってしまうからです。ただし、住宅ローン残高が少ない場合は生活保護を受給できることがあり、自治体によってその基準は異なります。
なお、生活保護の受給を考える前に、住宅ローンの滞納があっても競売より高く売却できる可能性のある「任意売却」という方法を検討してみるのも一案です。 - 売却した後も持ち家に住み続けたい場合はどうすればよい?
- 売却した後も、できれば持ち家にそのまま住み続けたいという方もいるでしょう。その場合には、生活保護受給ではなく「リースバック」という方法を検討するのも一案です。
リースバックではまず、相場をやや下回る価格にはなりますが、リースバック会社に持ち家を買い取ってもらいます。その後、リースバック会社と賃貸借契約を締結し、家賃を支払ってそのまま持ち家であった家に住み続けることができます。
まとめ
また、不動産会社に相談して、所有不動産をどれくらいで売却できるか、購入ニーズはありそうかなどの情報を知っておくことも大切です。転ばぬ先の杖として、不動産会社に査定依頼をしておいてもよいでしょう。
持ち家を売却しなければダメとは限りません。
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この記事の監修者
AFP/社会福祉士/宅地建物取引士/金融広報アドバイザー
日本社会事業大学 社会福祉学部にて福祉行政を学ぶ。大学在学中にAFP(ファイナンシャルプランナー)、社会福祉士を取得。大学卒業後、アメリカンファミリー保険会社での保険営業を経て、(マンションデベロッパー)にてマンション営業、マンション営業企画に携わった。その後、2008年8月より独立し、現在、自社の代表を務める。