- 土地をもっとも有効的に活用できるように、区画や形を整えるための工事が造成工事です。
- 土地の状態に応じて伐採や切土・盛土などの工事内容があり、活用方法に応じてさまざまな仕上げ方があり、費用も異なります。
- まずは土地活用方法を決めることから始めましょう。
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目次
土地の造成とは
建設前の土地に樹木が多く茂っており、傾斜もある場合、そのままでは住宅を建てられません。そのため、樹木を伐根し、傾斜をなくすために土を盛ったり削ったりして、建築に際して「土地を最も有効的に活用できるようにすること」が必要です。
さらに、土を盛ってできた高低差から土地が崩れないように擁壁を設置し、盛った土が建物の重さに耐えられるように地盤を強化する必要もあります。これらの建物を建てる前の土地の工事が造成工事です。
一般的には、次のような土地で造成工事が必要になります。
● 地盤が弱い
● 高低差がある
● 変形している
元々が田んぼや畑などだった地盤が弱い土地や山林などの傾斜地・三角形やひし形といった変形地は、そのままでは活用が難しいため造成工事が必要になります。
(1) 切土で、高さが2mを超えるがけ(30度以上の斜面)を生ずる工事
(2) 盛土で、高さが1mを超えるがけを生ずる工事
(3) 切土と盛土を同時に行う時、盛土は1m以下でも切土と合わせて高さが2mを超えるがけを生ずる工事
(4) 切土、盛土で生じるがけの高さに関係なく、宅地造成面積が500㎡を超える工事)
検討している土地が規制対象かは、サイトなどで自身で調べるか不動産会社やハウスメーカーに確認すると良いでしょう。
造成工事の種類
整地
不要物を取り除くだけでなく、ローラーなどの重機を用いて上から圧力をかけて土地を固める作業が行われ、時間の経過や建物が建った重みでの沈下を最小限に留めるようにします。
伐採・防草
活用内容が決まっている場合は、支障がない部分の樹木を残して緑を活用するといった選択肢もあります。
また、防草とは防草シートなどをかぶせ草が生えるのを防ぐことです。整地後に長期間放置する場合でも、草が生い茂ってしまうと次の活用に時間がかかったり、もしくは近所からクレームが入ったりすることなどがあるため、防草措置を取っておくことをおすすめします。
地盤改良
元々が田畑や沼地だった場合、そのままでは建物の重みに耐えられずる沈下する恐れがあります。なお、地盤改良が必要かどうかは、建設前の地盤調査でチェックします。
地盤改良が必要になれば、表面をセメント系で固める表層改良や建物を支えるための柱状改良・鋼管杭など活用目的に合わせた地盤改良が行われます。
盛土・切土
盛土 | 低い場所に土を持って地面を高くする |
---|---|
切土 | 高い場所の土地を削って地面を低くする |
土留
擁壁はブロックや板・コンクリートなどとさまざまな種類があり、土地の活用目的や高低差などに応じて必要な構造が異なってきます。
造成工事の方法(仕上げ方法)の違い
粗仕上げ
ただし、粗仕上げでどこまでしてくれるかは、依頼する会社によって異なるので事前に確認することが大切です。
砂利・盛土仕上げ
砂利仕上げは土地の見た目が良くなるだけでなく、水はけが良くなるというメリットもあります。
砂利・盛土仕上げは、駐車場や庭などで活用する際によく利用されます。売却を検討する場合も、盛土仕上げを施しておくことで見た目が良くなり、買い手の印象アップにつながります。
防草仕上げ
すぐに活用の予定がない土地でも防草仕上げをしておくことで、活用する際に雑草取りが不要になり、すぐに土地を活用しやすくなります。
コンクリート・アスファルト仕上げ
原材料費の違いから、コンクリートはアスファルトに比べてコストが高くなりますが、補修がほとんどなく耐久性が高いという特徴があります。
アスファルトはコンクリートに比べて、初期コストを抑えられますが、補修回数が多いためランニングコストのアップには注意しましょう。
造成工事の費用目安
工事内容 | 費用目安 |
---|---|
整地費 | 800円/m2 |
伐採・伐採費 | 1,000円/m2 |
地盤改良費 | 1,800円/m2 |
土盛費 | 7,400円/m2 |
土止費(土留費) | 77,900円/m2 |
傾斜度 | 費用目安 |
---|---|
3度超5度以下 | 20,300円/m2 |
5度越10度以下 | 24,700円/m2 |
10度超15度以下 | 37,600円/m2 |
15度超20度以下 | 52,700円/m2 |
20度超25度以下 | 58,400円/m2 |
25度超30度以下 | 64,300円/m2 |
造成工事は既存上により大きく内容や金額が異なります。また、昨今建築工事費の上昇が続いており、最新の状況は、必ず見積もりを取って確認してください。
造成工事の流れと期間
造成工事自体は、1~2週間ほどが目安です。ただし、天候や工事内容によっては1~2カ月ほどかかるケースもあるので、事前に工期については見積書を確認するようにしましょう。
また、依頼する会社を選定する段階でも現地調査などが必要になるので、比較だけでも1~2週間は必要です。造成工事を検討してから完了まで、1~2カ月ほどかかることを考慮して余裕を持ってスケジュールを立てるようにしましょう。
造成工事の注意点
都市計画法・宅造成等規制法に基づいて計画を立てる
都市計画法 | 計画的な都市づくりのための法律 |
---|---|
宅造成等規制法 | 住環境の安全を守るための法律 |
アパートローンや住宅ローンは使えない
つなぎ融資やフリーローンは住宅ローンよりも金利が高くなる点には注意が必要です。金融機関によっては住宅ローンの分割融資を受けられるケースもあるので相談してみるとよいでしょう。
造成のタイミングによっては固定資産税に注意する
固定資産税は毎年1月1日時点の状態で判断されるので、その年の間で解体してすぐに居住用の建物を建てるか売却すれば固定資産税が高くなるのを防げます。反対に、長期間更地で放置する場合は、固定資産税に注意が必要です。
工事内容によっては経費計上できる
たとえば、土地に問題がなくてもアパートを建設するには隣地との関係性で造成工事が必要になるケースでは、以下のような項目が必要経費にできる可能性あるのです。
● 土留工事
● 境界線確定
● 土壌汚染調査
上記の場合、一般的な整地などの造成工事は土地の取得費になります。どこまでが取得費で何が経費計上できるかは判断が難しいので、税理士や不動産会社に相談して慎重に判断するようにしましょう。
複数社に見積もりを取って比較する
また、活用方法によっても造成工事の内容が異なってきます。事前に活用方法が明確になっているほうが、造成工事のコストを抑えやすくなります。
活用方法が決まっていないなら、造成工事の前に土地活用プラン決めることから始めると良いでしょう。
まとめ
土地造成にはさまざまな工事内容や仕上げ方法があり、それぞれ費用が異なります。造成工事を検討する場合は、複数社に見積もりを取り、慎重に比較検討することが大切です。
活用方法が決まっていればそれに合わせた造成工事を選べるので、まずは土地活用方法を決めることから始めると良いでしょう。
土地造成を行う前にどんなプランで土地活用をするか事前に計画を進めましょう。
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※ページ下部の「土地活用プラン請求サービスの注意点」をご確認いただいたうえ、ご利用ください。
この記事の監修者
不動産エコノミスト/社団法人 住宅・不動産総合研究所 理事長
(株)船井総合研究所上席コンサルタント、等を経て現職。不動産・住宅分野におけるデータ分析、市場予測、企業向けコンサルなどを行うかたわら、ラジオNIKKEI「吉崎誠二の5時から”誠”論」などテレビ、ラジオのレギュラー番組に出演。また新聞社をはじめ主要メディアでの招聘講演は年間多数。
著書:「不動産サイクル理論で読み解く 不動産投資のプロフェッショナル戦術」(日本実業出版社)など11冊。
該当エリアのことを、「宅地造成工事規制区域」といいます。