アパート経営は本当に儲からない?収支実例と安定経営のコツ

2024.06.24更新

この記事の監修者

弘中 純一
弘中 純一

宅地建物取引士/一級建築士

アパート経営は本当に儲からない?収支実例と安定経営のコツ

アパート経営が儲かるのか不安に感じる方向けに、儲からない理由とどうすると儲かるのかについて考え方や組立て方を解説します。

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目次

アパート経営が儲からないと言われる理由とは?

アパート経営には想定される「10のリスク」があると言われます。そのため思ったよりも儲からないという意見もあります。

ここではアパート経営は儲からないと言われる理由について掘り下げていきます。

理由①人口減少で入居率の維持が厳しい

日本は人口減少社会となっています。さらに東京都心への一極集中が再び生まれていますが、地方においては一部の都心や地域を除いて人口減少による入居率の悪化が懸念されています。

アパート経営は満室を超える経営はできません。どんなに経営状態がよくても満室時家賃収入が最大値です。アパート経営開始時の事業計画で策定した満室時家賃収入を超えることはなく、経年により家賃は低下するのが一般的です。

しかも満室経営を長期間継続することは難しく、入退去がたびたびある賃貸事業では入居率100%は理論上可能ですが、現実には100%を割るのがあたり前のことです。

理由②投資回収に時間がかかってしまう

アパート経営は収益性を高めることが重要です。収益性の指標としては総資産利益率(ROA)や自己資本利益率(ROE)を算出し確認する方法がありますが、もう1つ単純に収益性を確かめるには、投資回収率(ROI)を確認する方法がアパート経営には適しています。

ROI=利益÷総投資額

ROIは上式で計算しますが、利益は年間家賃収入から経費を差し引いた金額です。総投資額は土地+建物+諸経費の合計ですが、最近の建築コストの高騰により総投資額が膨らむ傾向が強くROIは低下していきます。

つまりROIの低下は「投資の回収」に時間がかかることを意味しています。

理由③物件の管理維持にお金と時間がかかる

アパート経営は物件の管理や入居者を含めた顧客管理が大変重要です。そのため物件数が多くなると大家さんだけの力では十分な管理ができず、管理会社に委託する必要もでてきます。

時間の取れる専業大家さんなどは外部委託せず「自主管理」を維持しているケースもありますが、やはり時間的な限界があり管理戸数が増えると難しいものがあるのが実態です。

また、アパートの寿命をできるだけ長くさせるためには、適切なメンテナンスが欠かせません。メンテナンスには専門家や専門業者に依頼する必要のあるケースも多く、費用は少ないものではありません。

理由④不動産の専門知識が必要である

アパート経営が思ったよりも儲からないと感じる理由の1つとして、アパート経営は「不労所得が得られる」といった先入観があるからだと考えられます。

アパート経営は、アパートを取得する(建てる)~入居者を募集し契約して入居させる、このプロセスにより入居後は自動的に家賃収入が入ります。その間大家さんとしては「ほとんど何もしなくてよい」と思われがちです。

しかしアパート経営は「事業」であり不労所得と考えるのは誤りと言えるでしょう。

・家賃相場の変化
・競合物件の増加
・賃貸ニーズのトレンド
など所有する賃貸物件があるエリアの「市場環境」を常に把握し、家賃滞納空室率の増加など事業運営において必ずあるリスクへの対応を図っておく必要があります。また不動産に関する知識に加え民法をはじめとした法律知識の学習も重要になります。

大家さんとしての不断の努力が不可欠であり、その先に高い収益性と安定したアパート経営が実現できると言えるでしょう。

アパート経営の収支実例

アパート経営の実際を知るため、ここでは2つのケースを条件設定し年間の事業収支をシミュレーションしてみます。とくに新築時における経営環境がよい時点と、経年により物件が古くなってくるころ(ここでは15年後を設定)の比較に注目していただきたいと思います。

【パターン①】1K 10室の場合

単身者向け1Kタイプのシミュレーション条件を次のように設定します。

総戸数は10戸(床面積7.5坪)とし、建築費は床面積坪当たり53万円とし、4,000万円とします。アパートローンは3,600万円の借入とし、金利を1.5%返済年数は20年とします。土地は評価額3,000万円とし、評価額の変動はないものとします。

この条件に基づいて新築時の満室と2室空きの2つのパターンで、新築時と15年後の収支バランスを検証します。

収支バランスの検証には次の条件を設定します。

・家賃月額は1室6万円
・修繕費は家賃の8%(税別)
・管理委託費は家賃の5%(税別)
・損害保険は地域や補償内容により変わるので暫定的に年間5万円
・固定資産税と都市計画税は土地分の変動はなしとし、建物分は15年後には新築時の約38%を評価額とします。
・家賃の下落率は年に1%とし、15年後には新築時の85%まで下落すると仮定しシミュレーションします。
【新築時】
区分項目満室時2室空室
収入賃貸720万円576万円
支出修繕費63万円51万円
管理委託費40万円32万円
損害保険料5万円5万円
固都税50万円50万円
ローン返済208万円208万円
小計366万円346万円
利益(キャッシュフロー)354万円230万円
【15年後】
区分項目満室時2室空室
収入家賃612万円490万円
支出修繕費54万円43万円
管理委託費34万円27万円
損害保険料5万円5万円
固都税29万円29万円
ローン返済208万円208万円
小計330万円313万円
利益(キャッシュフロー)282万円177万円
上記に加えて15年経過時までには外部の大規模修繕工事を行う必要があり、新築時からのキャッシュフローを蓄積し工事費用の準備をしておかなければなりません。(次の2DKのケースも同様です。)

【パターン②】2DK 6室の場合

2DKタイプのシミュレーション条件を次のように設定します。

総戸数は6戸(床面積14坪)とし、建築費は床面積坪当たり51万円とし、4,300万円とします。アパートローンは3,900万円の借入とし、金利を1.5%返済年数は20年とします。土地は評価額3,000万円とし、評価額の変動はないものとします。

この条件に基づいて新築時の満室と2室空きの2つのパターンで、新築時と15年後の収支バランスを検証します。

収支バランスの検証には次の条件を設定します。

・家賃月額は1室8万円
・修繕費は家賃の8%(税別)
・管理委託費は家賃の5%(税別)
・損害保険は地域や補償内容により変わるので暫定的に年間5万円
・固定資産税と都市計画税は土地分の変動はなしとし、建物分は15年後に新築時の約38%が評価額とします。
・家賃の下落率は年に1%とし、15年には新築時の85%まで下落すると仮定しシミュレーションします。
【新築時】
区分項目満室時2室空室
支出家賃576万円384万円
支出修繕費51万円34万円
管理委託費32万円21万円
損害保険料5万円5万円
固都税53万円53万円
ローン返済226万円226万円
小計366万円338万円
利益(キャッシュフロー)210万円46万円
【15年後】
区分項目満室時2室空室
収入家賃490万円326万円
支出修繕費43万円29万円
管理委託費27万円18万円
損害保険料5万円5万円
固都税30万円30万円
ローン返済226万円226万円
小計331万円308万円
利益(キャッシュフロー)159万円19万円
キャッシュフローとは家賃収入から毎月支払う費用や税金を差し引き、手元に残る利益です。

なお家賃として得た収入から必要経費を控除した「利益=所得」は不動産所得となり、ほかの給与所得や事業所得と合わせて所得申告が必要になります。

不動産所得とキャッシュフローの金額は、計算方法が異なるので注意が必要ですが、実際の収支バランスを確認するにはキャッシュフローの金額を確認することが重要です。

儲かるアパート経営にするには計画段階が大切!

アパート経営はしっかりした事業計画を立て、リスクを軽減する運営を行うことにより儲かる事業になっていきます。

計画の策定において重要なポイントは次のとおりです。
・資金計画
・立地条件の検討
・業者選択
・入居者ニーズの把握
・管理方法
・出口戦略
以上のポイントについて順に解説していきます。

自己資金をできるだけ準備する

前述のシミュレーションでは金融機関からの借入比率を90%としました。そのため支出に占めるローン返済が非常に大きなウェイトになっています。

2DKの15年後では2室空室時のキャッシュフローは19万円となり、事業としての魅力はほとんどない状態と言えるでしょう。

一般的に収入に対する返済比率は50%以下におさえることが望ましいと言われます。そのために自己資金比率を大きくし借入金を圧縮させるほうが、長い事業期間を考えると収益性の面でより安全側になります。

ただし自己資金比率を高めると「自己資本利益率(ROE)」は低下しますので、バランスを考慮した自己資金比率を図り、その中でできるだけ自己資金を準備するよう計画を立てるほうがよいでしょう。

アパート経営においてレバレッジ効果を高めるには、金融機関からの融資を受ける考え方は当然と言えます。しかしながら返済比率を考慮しない借入は、将来の金利上昇を考えると非常に大きなリスクとなります。 また入居率の低下や家賃の下落など、収益性を低下させる要因に対し事業のリスク耐性を強化するには、返済比率の最適化が重要であることを認識してほしいです。

弘中 純一
弘中 純一

アパート経営向きの立地かどうか見極める

「土地活用」にはさまざまな方法があります。アパート経営はそのたくさんある方法の1つです。

土地活用を考えている所有地がアパート経営に適しているかどうかは慎重に判断する必要があります。

その判断材料としてもっとも重要なのは「立地」です。
・交通便
・生活環境
・市場性
上記3つのポイントを立地条件の面から見ると、アパート経営には向かない土地もあります。

工場や流通施設のほうがよい土地や、商業施設に適した土地といったこともあるでしょう。交通便や生活環境が整っており最適な土地と思われる場合でも、市場性を見た場合に競合物件が多く家賃下落圧力が強いエリアでは、厳しい競争を覚悟しなければならないケースもあります。

建築依頼先は慎重に選択する

アパートを建築するには建設業者を選択する必要があります。建築士事務所に企画・設計を依頼する場合は、建築士事務所が数社の建設業者を候補としてあげてくれるケースもありますが、企画段階から建設業者に依頼する場合はみずから業者を選ばなければなりません。

建設業者には大きく分けて3つのタイプがあります。
1.ハウスメーカー
2.工務店
3.建設業を兼業する不動産会社

アパート建築を得意とする業者は事業の企画にも対応してくれるケースが多いですが、アパート建築が不慣れな業者は大家さんみずからしっかりとした事業計画を立てなければなりません。建設業者によってコストも異なり、適正な工事を適正な価格で行う業者を探さなければなりません。

「建築業者の特徴と選び方」の記事を参考にして、アパート事業プランを複数の会社から提案してもらう方法も有効です。

入居者ニーズを調査する

アパート経営をはじめるには「入居者ニーズ」を正確に把握しなければなりません。入居者ニーズとは、これからアパートを建てて入居者を募集しようとするエリアにおいて、対象となる顧客が求めているものです。

ニーズには全国どこでも共通して求められるものもありますが、多くは年齢層や所得階層、性別、地域性などにより、そのバリエーションは多彩なものになります。

アパート経営を予定しているエリアだからこそ存在するニーズにフォーカスできると、ほかの物件との差別化を図ることができます。逆に予定しているエリアには必ずあるニーズを無視してしまっては、満室入居が望めない状況にもなってしまいかねません。

このようにニーズを把握したうえで、そのニーズに対応できるコンセプトを明確にさせることもアパート経営の秘訣です。「コンセプト賃貸」の考え方も参考にしてください。

管理会社・管理方式を吟味する

アパート経営では必須と言える管理業務ですが、大家さんがみずから行う「自主管理」と管理会社に外注する「委託管理」があります。さらに委託管理にも家賃管理まですべて委託する方法から建物管理だけに限定するなどのバリエーションがあります。

管理業務をどのような方法で行うか、事業スタート時点で決めなければなりません。当初は自主管理でスタートし物件が増加することにより委託管理に移行する考え方や、当初から全面的な委託管理でスタートする考え方とそれぞれメリットやデメリットがあります。

さらに「サブリース」という、管理業務を含めてアパート経営そのものを管理会社にいっさいまかせる方法もあり、大家さんが目指す事業形態を計画段階でしっかり煮詰めることが重要です。

アパート経営の成功は管理業務次第と言えます。 管理を委託するケースでは、管理会社を変更したことにより入居率が格段に向上したという事例もあります。自主管理の場合は、大家さんの考え方や管理方法により業績が左右されることがあっても納得がいきますが、委託管理の場合は管理会社の選び方により成否が分かれます。 管理方法の検討と管理会社の選択は、大家さんにとって大きな課題になるのです。

弘中 純一
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出口戦略を描く

建物には寿命があります。アパート建築にも言えることであり、いつかは老朽化し賃貸事業に供することができなくなります。
・限界まで活用して最後は土地として売却する
・投資物件として好条件で売却できる時点で売却する
いつかは使えなくなるアパートを最終的にどのようにするのか、事業の開始時点で「出口戦略」を立てておくことが大切です。

アパートを新築して経営を開始するケースや、中古アパートを取得して事業を継続するケースなど、賃貸物件の築年数や耐久性と立地場所の将来性など考慮するポイントがいくつかあります。

また売却ではなく「建替え」や「リノベーション」により、事業の再生を図る考え方もあるでしょう。事業計画は最終のゴールをどう描くかが重要です。

出口戦略を考えるにあたって重要なことは、アパート経営の目的です。資産を増やす、将来の収入確保、節税効果、賃貸事業の専業化、などいろんなシチュエーションが考えられ、その目的によって出口戦略を実行するタイミングも変わってきます。 事業目的にもっとも適した出口戦略を立てることにより、将来の利益を最大化することが可能になるでしょう。

弘中 純一
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まとめ

アパート経営は儲からないと言われる理由を解説しました。しかし計画段階から慎重な資金計画や立地条件を検討し、賃貸ニーズを正確に把握したうえでリスクも織り込んだ事業計画を立てることにより、儲かるアパート経営が可能になります。

さらに運営面ではパートナーとなる建設業者や管理会社を慎重に選択し、出口戦略をあらかじめ織り込んだアパート経営は、収益性を重視した計画を実現させることができるでしょう。アパート経営は事前の事業計画をより正確にし、より現実的な視点に基づき組立てることが重要です。

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弘中 純一
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宅地建物取引士/一級建築士

宅建取引士・一級建築士として住宅の仕事に関り30年。住宅の設計から新築工事・リフォームそして売買まで、あらゆる分野での経験を活かし、現在は住まいのコンサルタントとして活動中。さまざまな情報が多い不動産業界で正しい情報発信に努めている。

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