不動産売却のメリット・デメリットとリスクをケース別に徹底解説します

2024.06.10更新

この記事の監修者

坪 義生
坪 義生

社会保険労務士/宅地建物取引士

不動産売却のメリット・デメリットとリスクをケース別に徹底解説します

持ち続けているだけで損失というデメリットのある不動産もあるため、不動産売却のリスクとデメリットを正しく知る必要があります。

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目次

不動産売却はデメリットが少ない?

不動産を売却するということは何も特別なことではありませんが、非常に高額であるがゆえに、ためらうのも仕方ありません。そのためらいを払拭するため、不動産売却のメリット・デメリットは把握しておきたいもの。

しかし、意外にも不動産売却のデメリットは少ないものです。むしろ赤字の投資用マンション、相続しただけの“塩漬け”の土地など、所有し続けることで損失が発生し、デメリットとなる不動産も少なくありません

実際に住んでいる住まいであっても、一部の例外を除いて公示地価が年々下がり続けているように、住めば住むほど、住まいの価値は下がり続ける傾向にあります

売りたいと思ってもすぐに売れる訳ではありませんから、決断が遅れれば遅れるほど、高い条件で売ることが難しくなってしまうでしょう。

不動産売却にはデメリットが少ない代わりに、リスクがあるということを覚えておきましょう。デメリットとはメリットを享受する上で避けることのできないネガティブな要因ですが、リスクであれば回避することができます

リスクを回避するためにも、どのようなものがあるのか把握しておくと良いでしょう。

不動産を売却する一般的なメリット・デメリット・リスク

国土交通省の土地保有移動調査(平成28年取引分)によれば、個人が不動産を売却する理由として多いのが「生活費に充てる」ということです。不動産を現金化することができることが何よりのメリットでしょう。

もしもローンの返済に困っていたなら、完済して精神的に身軽になることもできます。デメリットとしては、仲介手数料や譲渡所得税などの譲渡費用が発生することが第一に挙げられます

また意外と知られていないことですが、銀行でローンを組む際に加入させられた火災保険の保険料や住宅ローンの保証会社に支払った保証料など、不動産の売却によって戻ってくるお金もあります。売却後に忘れずに申請するようにしましょう。
メリット現金化できる
ローンを完済できる
固定資産税や都市計画税の軽減
他の住まいの買い替えができる
残りの年数分の火災保険料や地震保険料が戻ってくる
住宅ローンの保証料が戻ってくる
デメリット仲介手数料や譲渡所得税、引越し費用などといった諸費用がかかる
リスクすぐに売却先が見つかるとは限らず、タイミングによっては損失が発生する

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マイホームを売却するメリット・デメリット・リスク

家族構成の変化に伴って広い家に買い替えたい場合や、よりよい住環境を求めて買い替えたい場合など、実際に住んでいた一戸建てやマンションといった居住用財産の譲渡であれば、譲渡所得税を軽減することのできる特例があります

しかし実際に住んでいるマイホームを売り渡す訳ですから、引渡しまでに新居が見つからない可能性があったり、新居のローンと併せてダブルローンを払うことになったりなどリスクもあります
メリット譲渡益による譲渡所得税が軽減される※
譲渡益による譲渡所得税の課税を繰り延べできる※(買い替えの場合)
譲渡損が出た場合、その他の所得から繰越控除できる※(3年間)
デメリット内覧に備えて住まいをきれいにしておく必要がある
リスク引渡しまでに次の住まいを確保しておく必要がある
生活スタイルの変化に伴うトラブルが生じることがある
売却先が決まらず、ダブルローンを払わなければならない可能性もある
※適用には諸条件がありますので詳細は、 国税庁 で確認してください。

運用マンションを売却するメリット・デメリット・リスク

近年ではマンション経営をする人も増え、一人で複数のマンションを運用しているという人も少なくありません。しかしこうした投資用マンションは、維持するだけで経費や税金がかかる上、確実に収益が得られるというものでもありません。

家賃収入を目的とした投資用の不動産は基本的に長期保有することが鉄則ですが、家賃収入が得られなくなったとしたら、維持費がかかるほか、値下がりリスクなどもあるため早期に売却することが賢明な判断となることもあります

投資用マンションの売却では、資金の回収と経費削減が大きなメリットとなります。回収した資金をさらに収益性の高い投資物件に投資することもできます。また当然のことですが、今後の収益機会を失うことが一番のデメリットであるといえるでしょう
メリットより利回りの高い物件の購入資金が回収できる
値下がりリスクを回避できる
維持費が不要になる
デメリット収益を生まなくなる
リスクすぐに売却をすれば損をする可能性が高い

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土地を売却するメリット・デメリット・リスク

土地はどのように活用されているのかによって税率が変わります。居住用に利用するのであれば税率を安く抑えることができますが、何も活用されていない土地であれば税率は高くなります

更地の土地を所有していることで、無駄な税金を収め続けなければなりません。相続して所有することもありますが、有効な活用手段を見出だせない場合、売却してしまうのも一つの有効な手段だといえます。

ただし更地の土地は、活用するにも資金が必要とるため、更地の土地を求める購入希望者は、ある程度限定されてしまうというリスクがあります
メリット相続税の支払いに充てることができる(相続した土地の場合)
支払った相続税を土地取得の経費に充て、譲渡税を免除することができる(相続した土地の場合)※
より利回りの高い土地の購入資金が回収できる
値下がりリスクを回避できる
維持費が不要になる
デメリット相続登記をしなければ売ることができない(相続した土地の場合)
収益を生まなくなる
リスク更地にして売却する場合、取壊し費用が高額になることがある
土地境界が複雑な場合、隣地との境界トラブルが生じることがある
※相続税を支払ってから向こう3年の間に譲渡すること

まとめ

メリットやデメリットを検証すれば、デメリットよりもメリットの方が多いということにお気づきいただけたと思います。また、多くの人々が思い描く不動産売却のデメリットは、実際はリスクであることもおわかりいただけたことでしょう。

リスクであるならば、回避することができます。不動産売却を成功へと導くため、これらのリスクを回避するための知識とノウハウを身につけていきましょう。

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坪 義生
坪 義生

社会保険労務士/宅地建物取引士

明治大学政治経済学部政治学科卒業、千葉大学大学院社会科学研究科修士課程修了(経済学)。社会保険診療報酬支払基金、衆議院議員秘書、(株)矢野経済研究所(「住宅産業白書」、「出版社経営総鑑」、「コンピューター・サプライ市場の展望と戦略」を担当)等を経て、91年、じんじ労務経営研究所(社会保険労務士登録)を開設。同年より、「月刊人事マネジメント」取材記者として企業のトップ・人事担当者を中心に取材・執筆多数。

●紹介されている情報は執筆当時のものであり、掲載後の法改正などにより内容が変更される場合があります。情報の正確性・最新性・完全性についてはご自身でご確認ください。
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