課題
URBN の創業者である Dick Hayne 氏は 1970 年、独自の使命を掲げて店舗を新規に開設しました。レコードやジーンズから観葉植物や家具まで、多種多様な商品を展示することで、顧客のライフスタイルに焦点を当てたショッピング体験を生み出したいと考えました。この店舗はのちに Urban Outfitters となり、複数の小売ブランドを傘下に抱える企業へと進化しました。
URBN の拡大を支えたのは、創造性への情熱と顧客ファーストの考え方です。購入の方法、時間、場所に関係なく、顧客が希望する商品と体験を提供することを目標としてきました。1990 年代後半になると顧客はオンラインショッピングに強い関心を示すようになり、同社はいち早く E コマースを採用しました。
各ブランドに合わせて顧客体験を完全に管理できるように、E コマースを社内で一から構築することに決めました。時間の経過とともに、システムに複数のパートナーが参加して、オンライン決済と端末による店舗決済に対応するまでに成長。さらに、多くの外部システムと直接連携して、デジタルウォレットや後払いサービスなど、さまざまな決済手段を導入するようになりました。
現在、URBN にとってデジタルチャネルは顧客エンゲージメントの主要なソースであり、E コマースが全世界での売上に占める割合は 50% を超えます。クラス最高の体験を引き続き顧客に提供するために、URBN は自社のイノベーションをサポートしてくれる決済テクノロジーパートナーを探し始めました。
URBN が求めたのは、50 億ドルを超える年間売上の処理に対応可能な信頼性の高いオンライン・実店舗の決済処理テクノロジーです。さらに、社内開発チームの時間と労力を節約するために、既存の注文管理システムと簡単に連携し、複数のペイメントプロバイダーとの個別連携を解消できるものでなければなりませんでした。同社が当時提供していたすべての決済手段に対応しながら、新しい決済手段を効率的に導入して顧客の購入体験を向上させる必要がありました。このほか、支払いデータの収集と分析機能の向上にも関心を抱いていました。
特に潜在パートナーに欠かせないのは、将来的にも対応できる技術力を提供し、同社のイノベーションへの取り組みと絶えず変化する顧客ニーズへの対応をサポートしてくれることでした。
URBN の最高情報責任者である Rob Frieman 氏は次のように述べています。「過去 30 年間に人々が利用してきたあらゆるテクノロジーは変化したり、置き換えられたりしてきました。iPhone は 15 年前には存在しませんでしたが、今では私たちの生活に欠かせません。重要なのは、特定の技術ではなく、問題を解決する能力と、優れた顧客体験の構築に取り組むための好奇心と創造性です」
解決策
URBN は小売業の継続的な革命をサポートする理想的なパートナーとして Stripe を選択しました。「Stripe と提携したのは、この会社ならば今後 10 年の決済を革新してくれると考えたためです。急速に変化する小売業界において、イノベーションを推進し、私たちのニーズに柔軟に対応する能力を備えているという点で、Stripe は他社と一線を画していました」(Frieman 氏)
全ブランドの E コマースを統合するために、URBN は Stripe Payments を導入して、オンラインで購入した商品を実店舗で受け取る「BOPIS」やオンラインで購入した商品を倉庫から店舗に発送する「BOSS」取引などの E コマース販売に対応。さらに、Stripe Terminal も採用して、北米に展開する 600 の小売店における実店舗取引を処理しています。このユニファイドコマース・ソリューションは URBN のオンラインエコシステムと実店舗のエコシステムを橋渡しし、すべてのタッチポイントで一貫した顧客体験を実現。結果的に同社のレガシーシステムと比較して社内業務の効率が向上しました。
変更を実施する前に同社が行ったのは、Stripe プロフェッショナルサービスチームと連携して、システムの連携方法を計画することでした。フロントエンドの購入体験とバックエンドの会計・注文管理システムを細かく確認し、システムが扱うことになるエッジケースも含め、あらゆるユースケースを検討しました。
その後、段階ごとの実装計画を立て、まずはカナダの Urban Outfitters 顧客の E コマース取引を対象に Payments を実装。次に、カナダで展開する別ブランドのウェブサイトにも着手し、最後にアメリカのウェブサイトにまで Payments を展開しました。既存の注文管理システムと Payments との連携には Stripe API を使用。これにより、購入された商品の特定、フルフィルメントセンターから出荷された時点での記録、出荷後に顧客が指定した決済手段による取引の決済が可能になりました。すべての実装段階で Stripe プロフェッショナルサービスチームと連携することで、開発に関する問題をすばやく解決し、新しい機能を特定して優先順位を付け、プロジェクトのリスクを軽減しました。
同社はさらに Stripe の Optimized Checkout Suite を採用して、構築済みの UI を自社の決済ページに埋め込みました。たとえば、Payment Element を使用してクレジットカード、デビットカード、Klarna による支払いオプションをウェブサイト上で顧客に表示。さらに、スピーディーな決済を実現する Stripe の Link も導入しました。銀行口座情報を保存した顧客は、情報を再入力せずに取引を完了させることができます。Stripe の Optimized Checkout Suite を導入すると、195 以上の国で 100 以上の決済手段を利用できるため、URBN は既存の決済手段に引き続き対応し、ウェブサイトと実店舗の両方の決済を処理しています。
このほか、Terminal を同様の段階的リリースで小売店に実装しました。まずは BBPOS WisePOS E リーダーをカナダの Urban Outfitters の店舗に導入。次にアメリカの Urban Outfitters の店舗にも設置しました。Terminal Java SDK を利用することで、既存の大企業向け POS ソフトウェアを維持できただけでなく、デバイスを設定して店舗のブランド名を表示することが可能になりました。
Terminal は URBN の Payments とシームレスに連携するため、本格的なユニファイドコマース・プラットフォームが実現しました。取引のライフサイクルで一貫したサポートを Stripe から得ることで、ユニバーサルペイメントトークン、柔軟なオーソリフロー、クロスチャネルでの返金・返品、ハードウェア全体での一貫性のあるブランディングなど、複雑なクロスチャネルでの購入シナリオにも対応できるようになりました。また、Stripe のオーソリ・キャプチャー機能は URBN の複雑なニーズに応えるものであり、買い物客に最適な購入体験を提供することを可能にしました。こうした多様なオプション機能が、家具のカスタムオーダーのほかに、オンラインで購入して店舗で受け取ったり、特定の商品やサイズが在庫切れの場合に店舗でオンライン注文したりする機能など、URBN の顧客サービスモデルの重要な部分を支えています。
結果
個別に調整されたソリューションでマルチブランドの複雑さに対応
Urban Outfitters、Anthropologie、Free People などURBN の幅広いブランドに対応するには、適応力のある決済ソリューションが必要でした。Stripe の柔軟なプラットフォームを利用することで、各ブランドはそれぞれの特徴を維持しながら、一元的な決済インフラのメリットを享受できるようになりました。Frieman 氏は次のように述べています。「プロダクト責任者を交えて、Stripe が当社のニーズに真剣に耳を傾けてくれたことが、状況を大きく変えるきっかけとなりました」
Stripe の信頼性がプロモーション期間中の繁忙期を下支え
URBN のブラックフライデー・サイバーマンデーや、Free People で毎年開催される 24時間セールによって、Stripe のインフラがいかに安定したものであるかが証明されました。99.9999% の稼働時間、API レート制限の引き上げ、専用のモニタリングによって、Stripe は買い物のピーク時でも URBN の顧客にスムーズな体験を確実に提供しています。Stripe 全体でのコードフリーズに加えて、専用のオンコールサポートと日次のパフォーマンスレポートを提供することで、Stripe は URBN にとって重要な小売イベントが成功裏に終わるようサポートしています。
イノベーションへの取り組みで小売業の将来に対応
URBN と Stripe の提携では、現在のニーズにとどまらず、小売業の将来的なイノベーションにも目を向けています。支払い情報を自動入力して購入プロセスの手間を削減するほか、購入体験の向上や高度な不正防止、本人確認管理も検討するなど、Stripe は URBN が小売業トレンドをリードできるよう支援しています。「Stripe の先進的なアプローチは、小売業の将来に対する私たちのビジョンと完全に一致しています」(Frieman 氏)
すべての小売業者は、顧客体験をどのように進化させたいのか、将来的にどのように成長したいのか、どの部分の手間を減らそうとしているのかを考える必要があります。決済プロセスの効率化を実現した Stripe は、同社にとって信頼できるパートナーです。