あなたは、パワーを振りかざすような上司に、見下されたり、傷つけられたり、動揺させられたりしたことがあるだろうか。

 断言してもかまわないが、そんな体験は誰にでもあるだろう。自分にパワーがあると感じると、それを濫用していじめや虐待的行為に手を染める人が多いことは、たくさんの研究で明らかになっている。まさに「権力は腐敗する。絶対的な権力は絶対的に腐敗する」という格言の通りである。

 そうしてひどい目に遭った従業員は、苦しみ、パフォーマンスが低下し、創造力が減少し、仕事を辞める可能性が高いこともわかっている。一方、パワーを盾に部下につらく当たった上司の側は、みずからのネガティブな行為に影響を受けないことが多く、何事もなかったかのように仕事を続けることが研究によってわかっている。