楽天モバイル、NEC、インテル、コンテナ化した5Gコアネットワークの性能試験において業界最高水準のスループットを達成

 楽天モバイル株式会社(本社:東京都世田谷区、代表取締役社長:山田 善久、以下 「楽天モバイル」)、日本電気株式会社(本社:東京都港区、代表取締役 執行役員社長 兼 CEO:森田 隆之、以下「NEC」)、Intel Corporation(本社:アメリカ合衆国カリフォルニア州サンタクララ、CEO:Patrick Gelsinger、以下「インテル」)は、コンテナ(注1)化したStand Alone方式(注2、以下「SA」)の5Gコアネットワーク(以下「5GC」)の性能試験において、User Plane Function(以下「UPF」)の性能が業界最高水準のスループット(データ処理速度)である640Gbpsを達成しました。この5GCは、楽天モバイルとNECが共同開発しており、「Rakuten Communications Platform」(注3、以下「RCP」)上で稼働しています。

 コンテナ化されたUPFの性能向上は、5GCの展開において重要な課題です。一般的な4Gネットワークではコントロールプレーン(以下「C-Plane」)とユーザプレーン(以下「U-Plane」)は統合されています。5Gネットワークではこれを完全に分離することで、拡張性の高いUPFが実現できます。これにより、プライベートネットワーク、エッジコンピューティング、ハイブリッドクラウドなど、さまざまな導入形態の展開が見込めます。楽天モバイルは、4G LTEネットワークにおいて既にC-Plane とU-Plane を分離させたCUPS(Control and User Plane Separated)を導入するなど、ネットワークの立ち上げ当初から5Gアーキテクチャーを採用しています。

 今回、コンテナ化されたSA方式5GCにおけるUPFの1サーバーあたりのスループット640Gbpsは、東京都内の研究施設において測定されたものです。この結果は、今後の商用ネットワークにおける性能向上にもつながることが期待されます。

 今回のコンテナ化されたUPFのスループット高速化は、楽天モバイル、NEC、インテルによる専門性の高い協力関係による成果です。NECは、通信とITに関する高度な専門性を用いて、通信業界における最先端の製品開発を行い、CPUの使用率とメモリの高速アクセスを最大化させています。また、インテルのAIアクセラレーション機能を備えた第3世代インテルXeonスケーラブル・プロセッサーや、DDP(Dynamic Device Personalization)機能を備えたデュアルポート100Gbインテル・イーサネット・ネットワーク・アダプターE810-2CQDA2など、最新の高性能インフラストラクチャーが活用されています。楽天モバイルは、「RCP」上でコンテナを導入した環境を構築し、高速処理を行うことにより、「RCP」が持つ全自動化を活かしながら、トラフィックの特性に応じてエッジデータセンターからセントラルデータセンターまでUPFを俊敏かつ柔軟に展開することを可能にしています。

 楽天モバイル代表取締役副社長兼CTOのタレック・アミンは次のように述べています。「楽天モバイルは、オープンな標準に準拠し、完全にコンテナ化されたモバイルネットワークの設計と構築に成功しています。今回のNECとインテルとの協業を通して、コンテナ上での高速処理が可能であることを見出すことができました。引き続き、当社はコアネットワークの性能向上に尽力し、日本および世界でネットワーク技術を展開することでコストと消費電力の削減にもつなげていきたいと考えています。」

 NEC執行役員常務の河村厚男は次のように述べています。「楽天モバイルとインテルおよびNECが、業界最高水準のUPF性能を実証できたことを誇りに思います。NECは、25年以上にわたるモバイルコアネットワーク分野での豊富な経験を活かし、高性能で信頼性の高い5Gシステムを開発してきました。また、ネットワークとコンピューティングの両領域における実績、技術力、専門性を活かし、仮想化やクラウドネイティブ技術を採用した高品質な5GCを展開しています。加えてNECとインテルはCPU、NIC(Network Interface Card)等のハードウェア事業で長期に関係があり、DPDK(Data Plane Development Kit)に代表される仮想化の高速化技術を共同で高めてきました。今回NECは、クラウドネイティブなUPFで最高のパフォーマンスを得られるよう、大幅な最適化と改善を行いました。今後、本成果を生かして、日本並びに世界へ5Gを通じた社会貢献を続けて参ります。」

 インテルのネットワークプラットフォームグループのコーポレートバイスプレジデント兼ゼネラルマネージャーであるダン・ロドリゲス(Dan Rodriguez)は次のように述べています。「インテルの最新技術で構築したNECのコンテナ化した5G UPFソフトウェアと、楽天モバイルの完全仮想化モバイルネットワークの協業は、今後の5G展開において、いかにエコシステムとの融合と最先端技術の両方が不可欠であるかを示しています。最新の第 3 世代インテル Xeon スケーラブル・プロセッサーとインテル イーサネット 800 シリーズ・ネットワーク・アダプターに関する各社の継続的な開発と最適化により、今回の優れた性能が実現されました。卓越したパフォーマンスを提供するだけでなく、エンドユーザーに最高の体験を提供するために、コアからエッジまでのワークロード実行において、柔軟性も追加しています。」

 これまで楽天モバイルとNECは、日本国内の楽天モバイルのモバイルネットワークでの活用および「RCP」での提供を目的に、コンテナを導入したSA方式の5GCの共同開発に関する2020年6月の合意をはじめ、無線アクセスネットワーク(RAN)の領域においても国内モバイルネットワーク向けに5G用基地局装置の無線機(Radio Unit)の共同開発を行ってきました。2021年5月には両社の協業範囲を拡大し、O-RAN ALLIANCEが定めるO-RANフロントホールインタフェース仕様(注4)に準拠したOpen RANシステムの提供(4G および5G無線機と、システム構築のエンジニアリングサービス)をグローバルで提供を開始し、「RCP」のグローバル展開の加速に向けて取り組んでいます。

 楽天モバイル、NEC、インテルは、オープンで完全にクラウドネイティブでコンテナ化されたSA方式5GCの共同開発を通じて、世界規模でモバイル通信技術の革新を推進し、日本および世界中のユーザーに高品質な5Gネットワーク技術を提供することを目指していきます。 

(注1)コンテナとは、OS(オペレーションシステム)上に他のプロセスからは隔離されたアプリケーション実行環境を構築することで、仮想的な動作環境をより少ないコンピュータリソースで実現する技術のことです。
(注2)SA方式とは、RANからコアネットワークまでを5Gの通信技術に基づき構成したネットワークのことです。
(注3)「Rakuten Communications Platform」とは、楽天モバイルが開発を進める4G(第4世代移動通信システム)および5G(第5世代移動通信システム)のモバイルネットワークを提供するコンテナプラットフォームです。本プラットフォームでは、コンテナ化されたモバイルネットワーク用のアプリケーションが稼働します。
(注4)O-RANとは、相互運用可能でオープンな無線アクセスネットワーク(Open RAN)の仕様策定を推進する標準化団体「O-RAN ALLIANCE」の仕様のことで、Open RANソリューションは、本仕様に準拠します。楽天モバイルは、2020年8月より加盟しており、同11月に当社代表取締役副社長兼CTOのタレック・アミンが理事に就任しています。詳しくは、当社プレスリリースをご覧ください。https://corp.mobile.rakuten.co.jp/news/press/2020/1104_03/

楽天モバイルとNECの協業に関する詳細は、以下のプレスリリースをご覧ください。
https://corp.mobile.rakuten.co.jp/news/press/2020/0603_01/
https://corp.mobile.rakuten.co.jp/news/press/2020/0324_01/
https://corp.mobile.rakuten.co.jp/news/press/2021/0518_01/ 


以上

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